こんにちは。ひぐらし書道の曽我です。
毎日暑い日が続いていますね〜。そういう時は涼しい屋内で書道をしましょう。
今回のブログ記事は、書道の作品創作に関するお話です。
自分の好きな部分を沢山持ち、創作に活かしましょう
教室の公式Instagramで、「〜この古典のこの部分が好き〜文字フェチ」というシリーズを投稿しています。
「この人の書風のこの部分が好きだな」
書道を習っていると、必ずそういう場面に出くわします。そこには作品創作に繋がる大きなヒントが詰まっているんです。
・なぜその部分が好きなんだろう?
・どうして美しいんだろう?
そう考えながら練習をしていると、いつの間にか自分の創作ネタの引き出しになっていきます。
フェチを創作に? ちょっとわかりにくいと思いますので、実際のサンプルと一緒にご紹介します。
なお全部一気に紹介するとページが画像で埋め尽くされ、閲覧しにくくなるので、一部だけにして、続きはまた後日ご紹介します。
注意
フェチをそのまま転用した段階は、まだ創作の第一歩です。そこから練習を経て、そのフェチが自分のものとなりますので、これから紹介するものは作品とは程遠いものです。ご了承ください。
文字フェチVol.1 空海から
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空海の古典でよく見かける「最終画から次の文字への連綿線の角度が下方向ではなく、横へ流れる癖」を取り上げました。
【泰然自若】然・若の2文字でフェチを転用しました。フェチを使って、この言葉の持つ芯の強さを表現しようとしました。
この次に考えた事
・線の強弱が弱い
・若だけ草書だけどバランスいいか?
・筆はもっと柔らかいものが良さそう。
文字フェチVol.3 王羲之から
これは王羲之だけではないのですが、集字聖教序を取り上げ、文字は上部が大きい方が安定するという投稿をしました。
【阿弥陀】弥陀の2文字でフェチを転用しました。文字の上部を大きくし、逆三角形のような形を守れば、崩しで遊んでも、ある一定の秩序が保たれると思います。
この次に考えた事
・潤滑はあまりつけない方がいいかも。
・もっと線を太くして、墨跡風にしたら面白いかも
文字フェチVol.6 鄭道昭から
鄭道昭・鄭羲下碑の、ゆるやかに膨らみ角が取れたような冠を取り上げました。
【沈思】2文字でフェチを転用しました。沈は原本臨書のままですが… 思は草書にしてみました。最後横線1本の方が、この言葉の持つイメージを表現できると思ったからです。
この次に考えた事
・最後の横線のラスト右部分は軽くして、少し不安定さを出したが、失敗している。
・もっとおおらかなイメージと静かなイメージを出したい。
・淡墨でもいいかも?
文字フェチVol.5 再度、空海から
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最終画へ向かうハネがやや遠回りして運筆されている部分を灌頂歴名からご紹介しました。
【寺啄】キツツキのような怪鳥だそうです。寺は見ての通りフェチそのまま、啄のラストの丸める部分でもややフェチを入れ込んでみました。樹を突く鋭い・固いイメージを出してみました。
この次に考えた事
・口部分、この崩しでいいのかな?要調査。
・墨は濃いめで線はもう少し細くてもいいのかな?
文字フェチVol.8 褚遂良から
褚遂良の枯樹賦を取り上げ、絶対誰かが左下から引っ張っている!という左下への張り出しがフェチとご紹介しました。
【花の香 満ちて広がる 風の中】花・満の2文字でフェチを転用しました。書いていて思ったのですが、褚遂良のこのフェチは漢字仮名交じりにもうまく活用できそうな和の一面もありそうです。
この次に考えた事
・左右の力関係のバランス悪すぎ。全体を見てみてバランスの取り直しから始めよう。
フェチは多ければ多い程GOODです
以上、書道の作品創作のほんの一面をご紹介しました。
本当にこの段階は、創作段階の最初の最初なんだよ!というのを強調したかったので、「この次に考えた事」というセクションを入れてみました。
この記事を読んで、
「やっぱり書道って敷居が高いな…自分なんかには無理…」
と思うか
「書道って何だか楽しそう、創作意欲掻き立てられる!」
と思うか。
みなさんどちらでしたか?1人でも多く後者の感想を持っていただけるよう今後も発信していきたいと思います。
曽我