「1つの文字はたくさんの線でできています」
何を当たり前な… そう思われることでしょう。
流石に毎回の手書きの際に、1本1本の線まで意識して書くことは、とかくスピードを優先する現代においては非効率と言えるでしょう。しかし、1本1本の線まで意識して文字を練習することは、美しい文字感覚を手に入れる近道。
今回の記事では、文字を構成する線には、それぞれの役割があり、その役割を100%発揮できてこそ、最終的に美しい文字になる、ということをお話しします。
何の文字を参照しようかと悩みましたが、今年の大河ドラマの主人公の名前から1文字拝借し、「家」という文字にしました。かたじけない、家康殿。
家 の全ての線を分析・そして解説
1画目。この広くて白いスペースのどこに1画目を置こうか?失敗しないだろうか?
文字の1画目というのはいつも緊張と隣り合わせです。
「家」の1画目は、いわゆる「うかんむり」のスタートです。これから始まる文字を支える意識、屋根の重心であることを忘れず、短いながらも太くドシっと書きましょう。
筆順は前後しますが、「うかんむり」の横線は少し膨らませましょう。
何故かと言うと、次に控えた文字のメイン部分(上のイラストの丸で囲った部分)を「ゆったり」と迎え入れる準備をするためです。「かんむり」がしゃしゃり出てはいけません。次に始まるメイン部分に主役を譲る名脇役に徹しましょう。
はい、戻りまして、筆順で言うところの2画目。ここはこの文字の左の要です。
文字の下部分の左側(上のイラストの丸で囲った部分)に着目しましょう。ここは左払いが3本のみで、若干文字の左壁としては手薄な状態です。今川家に攻め入られては、安泰な徳川幕府は築けません。文字全体の左をしっかり固めるつもりで、少し長めに太く書きましょう。
続いて「うかんむり」の最後の部分です。筆順で言うと3画目なので、横線と一緒に流れで書きますが、役割は横線と異なります。
「うかんむり」の左側同様、この線も文字の右の要ではありますが、「家」全体の最終画(上のイラストの丸で囲った部分)で文字の全体を締めますので、ここは少し控えめに。メインディッシュは最後までお待ちください。
さあメイン部分が始まりました。先ほど迎え入れてくれた「うかんむり」の気持ちを無下にせず、ここは上と下の潤滑油になりましょう。上にも下にも良い顔をしなければいけない大変な役割です。
少し反りを入れて力強く、あまり長すぎてはバランスが崩れます。「家」の文字には横線が2本しかなく、上の横線はゆったり書いているので、ここでは力強く書きましょう。
人間だと猫背だよ!と注意される角度で書きます。
猫背でいいんですか?先生?? はい、良いんです。
・猫背であることで文字の右側の重心を保つ。
・3本の左払いが爽快に書けるよう、左側にはスペースを多めにしてあげる。
そのような役割があるのですね。
この3本の左払いは割と等間隔で、爽快に払いましょう。「うかんむり」の左線(上のイラストの丸で囲った部分)が文字を支えていてくれています。感謝の気持ちを忘れず、おもいっきり暴れてやりましょう。
さあ、クライマックスが近いです。最後の2画は文字にどっしり安定を与えるためにとても重要です。
メインは大トリに譲るものの、それに負けないくらい力強く右上から食い込むイメージで書きましょう。
さあ最終画です。今まで戦ってきてくれた仲間たちの期待を一身に背負い、緊張の場面です。
皆の配慮や気配りに報いることができるよう、文字をドシッと締めましょう!
終わり良ければ全て良し。失敗したらまた書き直せばいいんです。
まとめ
若干面白おかしく解説してみました。
うまく伝わればいいのですが… 文面だけではなかなか文字のコツを伝えることは難しいものです。
もっと知りたい方は是非教室まで来てください!
以上、教室の宣伝な締めくくりとなった記事でした。
おしまい。
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