こんにちは。ひぐらし書道の曽我です。
昨日(2024年1月20日)でちょうど体験レッスンに来られた方が170人になりました。大人向けの書道教室に多くの方が興味関心があるようで、書道を教える人間としてこれほど嬉しいことはありません。
さて、体験レッスンで「好きな言葉を作品にしたい」という方もこれまで数名いらっしゃいました。
もちろん2時間の体験レッスンだけで、満足のいく作品にするのはほぼ不可能なのですが。
書道の作品制作でどういうところに気を配ればいいのか?ということを1つでも多く体験していただくと、「答えのない創作することの楽しさ」を感じることができるのではないかなと思っています。
さて、このブログ記事では、書道作品制作における文字に表情を持たせるコツをちらっとご紹介したいと思います。
↑臨書のコツはこちらから。
5つのポイント
まず結論から言いますと、「文字に表情を持たせる」つまり「つまらない文字から脱却する」には、変化を多く入れることが大切です。
変化が沢山あることにより、文字全体に奥行きが生まれ、立体的になるからです。
では、5つのポイントを1つずつ画像と一緒に紹介していきます。
書く文字は「美人」です。
まずは普通に形を理解するために行書で書いてみました。
太い・細い
まずは、同じ太さで文字を書き続けるのではなく、太い線や細い線を入れてみましょう。
*「美」の2画目と一番長い横線を補足してみました。「人」は右払いに細い太いを出してみました。
長い・短い
さて、次は長い短いです。
*「美」の一番長い横線で左側を長めに伸ばし、右側を短めにしました。「人」は1画目と2画目が交わる部分を上の方へ移動してみました。
広い・狭い
次は、広い狭いです。これは文字というよりは、文字の中の余白の話です。
広い余白と狭い余白を作り出し、緊張感を高めます。
*「美」の最終画を少し遠くに置き、文字の下半身にある余白を広くしています。「美」の上部分の3本の横線部分の余白が詰まっていますので、上部と下部で余白の差が激しくなり、動きが複雑になってきます。「人」はネタがなかったので特に変えていません(強いて言えば左払いと右払いの間の余白を広めにしたかな?)。
速い・遅い
まだ続きます。次は速く書く線と、じっくりゆっくり書く線です。
書道の世界では「緩急をつける」と言ったりもします。
とにかく画一な書き方から脱却することが作品制作の第一歩です。
同じ太さ・長さで書かない。また、同じスピードで書くことも単調になってしまう要因の1つです。
書くスピードというのは本当に意識をしないと線に表現されにくい点です。
*「美」の2画目と一番長い横線、そして「人」の1画目をズバッと速く書いてみました。
次の最終ポイントに関連しますが、速く書くと線がかすれますが、問題ありません。
墨がついている・かすれている
最後になりました。
「かすれ」の表現です。書道の世界では「潤渇」と言ったりもします。
潤っている部分と、枯渇している部分の差が大切です。
この変化はできれば多い文字数の方が分かりやすいのですが、今回はこのまま「美人」の2文字で表現してみます。
*画像だと分かりにくいかもしれないのですが、「美」の1画目すこし滲んでいます(潤の部分)。そして「人」をかすれで書いてみました(渇の部分)。
最初と比較してみます
全く違いますね。
ちなみに使っている筆や墨は全く同じものです。
筆の使い方を変え、変化をつけるだけで大きく差が出るものなんですね。
どうでしたでしょうか?
文字に表情を持たせる方法をちらっとご紹介しました。
何の文字なのか、文字数はどのくらいか?など環境条件によってまた変わってきますが、大切なことは「答えはない」ということです。
人間は「答えはない」ものに不安を感じつつも興味を持ってしまう生き物と聞いたことがあります。
どうですか?書道やりたくなりましたか? 少しでも興味を持っていただければ幸いです。
何か作品にしたい言葉や文字ありましたら、ぜひ体験しに来てみてください。答えはないので解決はしませんが(笑)、普段使わない芸術脳が活性化されて心地よくなること間違いなしです。
それではまた次回。
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